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3人で暮らし始めて半年ほど、スザクの軍での仕事も内勤、訓練のみならず、そろそろ外で働くことも増えてきた。スザクとカレンで作ったシナリオにより、他の人よりも短期間で帰ってこれたりするが、もともと軍は諸外国やエリアの制定に大幅に重きを置いている。
いくら、故第三皇女の騎士とはいえ、働かなくては食い扶持は稼げない。スザクの外出が増えるとともに、スザクも不安なのかルルーシュの体の自由を奪うよう薬を増やしていた。カレンは反対したが、自分が見張っていれば薬を使われることもないと分かっていたのでなるべくルルーシュに張り付いてすごした。
しかし、それはずっとともにいたからだろうか。ルルーシュの異常に気づくのはカレンのほうが早かった。
ポットとカップを2客用意してルルーシュの部屋に入る。ルルーシュは奥のベッドで寝ていた。
「カレンか、もうお茶の時間か」
ゆっくりと起き上がって隣の椅子にうつろうとするのをカレンがさえぎってルルーシュをベッドに押し返す。力が入らないのかすとんと座り込んだ。
「ねえ、ルルーシュ。最近アンタ具合悪いの?何か隠してない」
スザクが外に出る日などは薬のせいかボーとしたこととかはあったが、基本的にしばらく前まではようやく家の中とはいえ、歩いたりしていたが、今は常に貧血に襲われたように青白い顔をしている。カレンの料理がいくら上達の途上とはいえ、栄養バランスも考えてメニューを用意しているのだ。
最初は疲れているのかなと思っていたが、日がたつにつれて、ルルーシュの不調は大きくなる。いまでは、眼に悪いからといくらとめた読書なども殆どしない。
「眼は見えているわよね」
ルルーシュの前に指を立てて振ってみる。瞳の動きはしっかり指の振りについてきているので特に大丈夫そうだ。
「頭痛とか、気持ち悪さとかは?」
心配そうに問いかけるカレンにルルーシュは力なく笑う。ずっと一緒にいるのだ隠せるはずもないとあきらめる。
「・・・心配するな、カレン、時々こっちの目が痛くなるだけだから」
「十分大事じゃない!いつからよ」
ぐいっとルルーシュの顔を自分に向ける。
「いた、た、ってカレンよせ、やめろ、馬鹿力がっ」
ようやくカレンの手から逃れたルルーシュはカレンをにらみつけた。
「ごめん、ルルーシュ、でも女の子に馬鹿力はないんじゃない」
カレンは思い切ってルルーシュの眼帯を取る。予想とは違い、ルルーシュの右目と同様紫の瞳が覗いた。
「今は?今はいたい?」
少し安堵しながら、ルルーシュにきくと時々といったとふて腐れたようなルルーシュの顔になる。久しぶりに両目をそろえたルルーシュを見てカレンは懐かしさを隠せなかった。
「そう、よかった」
眼帯をもとに戻そうと手に持ったが、カレンはなんとなく、まだルルーシュの左目を見ていたかった。スザクも仕事で帰ってこないし、この家は二人だけだ。少しだけならいいだろうとルルーシュに告げた。
片目でしか見れていなかったためか、開放感を感じながらルルーシュはいつもより元気になっていた。心配していた赤い光も左目にともることもない。ルルーシュにとっちためたことだが、ここ何日かは頭痛もないそうだ。
「スザク明日には帰ってくるみたいね」
ルルーシュには携帯は必要ないだろうと渡されていないので必然的に連絡はカレンに来る。
「え〜っと」、ルルーシュに読んであげようとしたがあまりに恥ずかしくて、ぽいっとルルーシュに投げ渡す。
ルルーシュも渡された携帯を読みすすめるうちに顔を赤らめた。
「馬鹿か、あいつは」
ルルーシュはメールの消去をする。照れ隠しなの分かっているので、カレンはさらりと受け流す。
「あ、ルルーシュあいつ帰ってくるなら、眼帯しといたほうがいいわよ」
「別に、今はいいだろう、アイツが帰ってくるのは明日だ」
ルルーシュは眼帯をしていると頭痛が戻ってくると思い込んでいるせいか、一回許したカレンもよくなかったが、なかなか眼帯をしてくれない。外に行くわけでもないから今までは許してきたが、スザクではそうも行かないだろう。
勝負で勝ったら、しなくてもいいと言われたのでじゃチェスを、とルルーシュが続けた。
「冗談じゃないわよっ、男だったら拳で勝負しなさい。腕相撲よ」
にっこり笑ってカレンは勝利をもぎ取っていった。