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一方、リヴァルとシャーリーは軍部の方に回ったが、元同級生だったという理由は受付に受け入れてもらえず、やはり警戒は厳しく、一般人はせいぜい入り口で出待ちするくらいしか出来そうになかった。しかし、入り口も何個かあり、そのうちの何処からスザクが出てくるか予想も出来ない。

「確かスザクがカレンと恋人でユーフェミア様が応援しているって美談になっているんでしょ。その話利用して何とかスザクに連絡とってもらおうよ」

シャーリーがこの地区で皇室のイメージアップになるスザクとカレンの話につながる、出会いとかクラスメイトだったなど受付の子にそれとなく交えながら篭絡をすると、何とかスザクのつかうだろう軍の門を教えてもらった。さすがに連絡までは無理だった。

リヴァルは俺って役に立ってないなと肩を落としたが、これからが本番と、スザクとすれ違う前に急いで二人で向かった。

昼前にこの地区にたどり着いて一度スザクの家の前までいったが、今はもう夕暮れに近くなっている。さすがに夜、外で待つのは避けたいので早く出てこないかと、門の前で立ちふさがっていた。

「んー、まだこないね」

シャーリーが少し寒そうに門の中を見る。門から見える中にも見張りの兵がいるが見るからにひ弱そうな学生二人にそこまで警戒していないのか外にいる分には見逃されている。

ばさ、と上着を一枚リヴァルはシャーリーに渡した。シャーリーは最初いいよと断ったがリヴァルに押し切られて、もう一枚袖を通した。

「・・・ねえ、リヴァルはどう思う?カレンは本当にスザク君を騙しているのかな?」

ポツリとつぶやかれた言葉は自分でも考えていることだった。

「わかんない、けどっ、カレンが俺たちを裏切っていたのは本当だろう」

言い聞かせるように続けるが、リヴァル自身まだよく分からなかった。

「私も分からないの、分からないことだらけっ!全部知っていたはずの人は何も教えてくれなかったし。・・・スザク君だってっ」

「?全部知っているって?何のこと?」

「ううん、それはいいの、そうじゃなくて、カレン私たちのことブリタニア人だから嫌いだったのかな?そんなことないよね。カレンに私たち少なくとも2回は助けられている。」

神妙に過去を思い出しながらシャーリーは言葉を続けた。だんだん二人の会話は過去に戻っていく。

「ホテルジャックのときと、あの別れの日、抵抗していたら殺されそうだったのを、多分友達だから、おとなしくしていてと、まもったんだわ」

「それこそ、あいつ等学園に来なければ危険はなかったんじゃねぇの。そりゃ、ほかの騎士団とかは殺伐していたけど、カレンが守ったまでいかないんじゃない?それに、俺たちもそうだけど、ナナリーとルルーシュは学園に置き去りになってしまったのだって、カレンがスザクごとランスロットを捕まえたせいで離れ離れになっちまったんじゃん」

「それはちがうよ、あの時ナナリーを置いていってしまったのはカレンとか、黒の騎士団のせいじゃない、私たちのせいだよ」

リヴァルが見つめたくない罪悪感をシャーリーはまっすぐ見つめる。当事者の一人として。

「・・・ルルーシュから最後の電話があったときアイツすごくナナリーのこと心配していた。きっとナナリーを探しに学園に戻ってきてたよな」

「・・・ルルーシュ」

シャーリーの表情は久しぶりにつむぐ名前に懐かしさより困惑をのせている。

しかし、リヴァルがそれに気づくこともなく、いたわる様にシャーリーを見る。

「そ、あの時何処にいたって戦争に巻き込まれてたけど、きっとナナリーのためにルルーシュ、・・・あいつ、本当に妹を大事にしていたから」

シスコンといわれようと、ナナリーを大事に大事にしていたルルーシュを思い出す。普段は格好付けの癖に、ナナリーが絡むととても扱いやすくて、からかいやすかった。

「話もとに戻すけど、やっぱ、カレンが騙しているんなら許せないや、俺」

昔を振り切るように今のことに思考を戻す。

「それは、私もそうだけど、スザク君って天然だし騙しやすそうだけど、真面目だったじゃない。あの噂って、スザク君の協力なしじゃ絶対出来ないけど、うそついてまでカレンを守る意味って?

カレンが黒の騎士団だったとか知ってなくちゃ、ユーフェミア様の名前まで使って、・・って、ありえないと思う」

シャーリーもカレンの心情より、スザクの方を考えながら言葉にすると自分でもとんでもないと思うが、スザクも知っているんじゃないかと行き着く。

「・・・確かに、スザクに嘘って似合わないよな」

リヴァルもカレンの正体をスザクにすぐに教えたいという衝動より、今度はスザクにこそどうなっているのか問い詰めたくなってきた。



辺りが、暗闇に包まれ始めたころ、ようやくリヴァルとシャーリーは待ち人が出てくるところを捕まえられた。

「よ、スザク、久しぶり!」

「久しぶり、スザク君」

二人は示し合わせたように明るめにスザクに最初の挨拶をした。昔感じた、なんだかほっとするようなやさしい雰囲気はなりを潜め、スザクは影を背負ったように表情は硬い。

「!久しぶり、二人とも、生きていてくれたんだ・・・よかった、元気そうで」

はかなく微笑みを浮かべるが、眼は笑っておらず、どこかちぐはぐな雰囲気をかもし出している。

「もしかして、会いにきてくれたの?ありがとう、そうだ、少し行った所においしいカフェがあるんだ、案内するよ」

カレンのことがなったらそのまま聞き逃すところだが、二人はスザクが家に人を招きたくないんだと理解する。

「お邪魔じゃなかったら、スザク君の家にいっていい?」

まず、シャーリーが切り出す。

「それは」

スザクが断ろうとするのを、リヴァルの後援が続く。

「なーんて、先に会長が向かっているんだ。そこで待ち合わせしようってなってるんだよ」

スザクに逃げられないようにカレンのことを今問い詰めるのはやめる。

「いや、あの散らかっているし、あ、・・ちょっと待って」

スザクは家にミレイを入れないようにカレンに連絡を取ろうと携帯を取り出す。すると、あまり携帯にメールが届くなどないため訓練が終わっても見ていなかったが、ようやくカレンからもメールがあったことを発見した。

指を一定に押しながらカレンからもたらされた報告のミレイの訪問とよりによって、ルルーシュを見られたことに表情をなくしていった。

読み進めるうちにどんどん視線がきつくなっていくスザクを二人はそばで見守った。

「・・・分かった、会長は家でもう待っているみたいだから、君たちも来るならついてきて」

スザクはそっけなく二人に告げると足早に軍からの帰り道を急いだ。