忘れるな「王の力は、オマエを孤独にする」と。



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エリア11は行政特区「日本」、合衆国日本をへて未だにエリア11である。

黒の騎士団による東京への攻撃はほとんどが租界が崩れ去った後で、本国からの応援が届き帝国軍の勝利に終わった。しかし、なくしたものはおおきかった。

帝国は前よりもイレブンに対しての搾取が強くなった。神聖ブリタニア帝国としても行政特区を唱えたエリア11の副総督の乱心による惨劇はほかの国とのバランスに大きく影を与えたことも原因だ。エリア11についてはしばらくサクラダイトなど資源を取れるだけとって、武力による弾圧と、軍の監視を強化する構えだ。



エリア11に仕事や移住した多くのブリタニア人も本国へ帰ることになった。多くの名門氏族たちを抱えるアッシュフォード学園も波に押されるようにかつて日本と呼ばれたエリア11から心の傷だけ残してさることになった。幾人かの行方不明者を残して。仮初でも平和が在った学園は細々と、本国の片田舎で続けられたが学生の数もずいぶんと減ってしまった。生徒会のメンバーですら半数近くいなくなってしまったのだ。



生徒会長のミレイ・アッシュフォードをはじめてとして、残ったメンバーはシャーリー・フェネット、ニーナ・アインシュタイン、リヴァル・カルデモンドの4人だ。

黒の騎士団として活動していたカレン・シュタットフェルトと、軍属だったクルルギ・スザクそしてルルーシュ、ナナリー・ランペルージ兄妹は租界から本国へ戻るために乗った空中戦艦アヴァロンに乗り込むときから姿がなかった。カレンとスザクに対しては戦いに身をおいていたことを知っていたが、最後目をはなしたときにはぐれてしまった盲目の少女ナナリーと、その兄であるルルーシュを置いてきてしまったことに生徒会のメンバーは特に心を痛めていた。



そんな時ミレイの元に名目上婚約者の相手から、探していた一人の近況が知らされた。特派として部下でもある少年が一番わかりやすくもあったのだが。ロイドからの連絡ではスザクはユーフェミアの騎士として、本国にも小さいが家を与えられていたのでそこにいるそうだ。軍人の仕事はしばらく休んでいるそうだ。ロイドからしたら、ランスロットのパイロットとして適合率の高いスザクには一刻も早く戻ってきてほしいとの願望があるようだ。しかし、ユーフェミアの死により、スザクは変わってしまったそうだ。時々軍舎を訪れても前のようなはつらつさはなく、淡々と訓練をこなす。ランスロットにも搭乗しての軍務もほかの軍人と同様くらいの成果しかでない。スザクが劣っているわけでなく、ほかと同じであるのでしばらく療養もかねて、内勤や訓練のみと軍医のほうからも言われているようだ。



「スザクの家をたずねてみましょう」

ミレイがほかの生徒会のメンバーに声をかけたのも、何かのきっかけがほしかったからだ。

自分はもうすぐ学生生活を終えてしまう。出来るなら後に残る人たちに笑顔を残したかった。親しい友の行方もしれない心細さと、カレンが黒の騎士団員だった裏切られたような気持ち。敬愛する皇女殿下をなくしたショック。父親をテロ活動で殺されたことなど、すべては起きてしまったことだが何時までも引き摺っていないで前を見なくてはいけない。

きっとスザクも立ち止まっているのだろう。

みんないろいろ悩んでいたようだが、スザクをたずねることになった。